研究班・課題の成果

実験展示

実験展示「あるく -身体の記憶-」を2007年11月1日から30日までの1ヶ月間学内の常民参考室において実施した。

展示場には、横浜市内、神奈川区内といった地域の人々や本学の学生など、研究者の枠を超えたさまざまな人々が観覧者として足を運んだ。展示を見る人々との交信のありようがひとつの研究成果ともなりえた。

この展示で発信したのは、図像資料を通してたどり着いた「かつての私たちの歩き方」に「世代を超えて私たちの身体に伝えられたもの」がみえるかどうかの問いかけであった。新しい試みは、観覧者がさまざまな歩き方の実演を含んだ映像プログラムに沿って実際に歩くことにより、自らの身体を使って発信者からの問いかけを検証するものであった。それと同時に第三者による展示評価によって、新しい試みの成果を検証した。このような方法により、展示への同意や異議を踏まえて、展示を見直し再発信することをおこなった。この点は刊行物などによる一方向からの発信とは異なり、展示が相互確認の場となりえたのである。

それはまた、この展示が「あるく」研究の実験、検証の場となりえたことを示しており、そこに「身体技法」、さらには「非文字資料」研究の方法の問い直しを含め、今後への新たな視点をもたらすことへの可能性を確認した。

展示の記録保存を『実験展示「あるく-身体の記憶をつくる」』の刊行と映像による記録(DVD)により進めた。研究成果の発信である以上展示終了後も検証を可能にしておくことは欠かせないが、展示は発信装置としてだけでなく、展示そのものがつくる過程も含め研究成果として蓄積され発信されるべきとの提言を込めた。

ページの先頭へ戻る