屋根葺巻物とは、屋根葺職人として親方に弟子入りし、一人前として認められたときに親方から伝授される職人巻物のことで、屋根葺職人の由来と系譜、グシマツリの式次第等を記している。
屋根葺職人には、筑波流と伊勢流があり、巻物を所持しているのは筑波流の職人である。筑波流の巻物には、祖神として「筑波相太郎」や「筑波山神霊孫福太夫」の記述がある。筑波流と伊勢流の大きな違いは、筑波流の幣束に三角の山をつけるが、伊勢流にはつけないのが特徴である。葺き方にも違いがあると言われ、古くは流派の違った屋根葺とは一緒に仕事をしなかった。
屋根葺巻物は、奥会津地方でも、金山町・只見町・南郷村(現南会津町)・下郷町で確認されており、只見町における屋根葺巻物の分布を見ると、小林地区と長浜地区で多く確認されている。