カヤ(茅)屋根は、日当たりが良い方は三〇年、日陰であれば一〇年くらいで傷みがはじまるという。屋根は、普通三年か五年おきに一度ぐらいサシガヤをして補修を行い、屋根全体を葺きかえる丸ぶきは三〇年から四〇年に一度の割合で行われた。
屋根葺作業
屋根葺用具
- 屋根葺職人を中心にジハシリ(地走り)と呼ばれる村落内の人々によって行われる。
- 屋根葺職人は、葺き替え作業を行うための足場架けを行い、ジハシリが、古いカヤを取り去るヤコボシをしている間に、村人が集めてきたカヤの選定を行う。
- ヤコボシが終わると、古くなった屋根の骨組みであるオシボクを取り替える。
- 屋根葺はノキヅケから始められ、下にオガラ(麻幹)を並べ、細い麻糸で一把ずつ平らに並べてくくりつける。
- 次にヒラブキが行われ、アルキという細木を横に六〇㎝ぐらいの間隔で結い、屋根葺職人・ジハシリとも、このアルキを伝ってカヤを上に運ぶ。
- キリヤ先やダキと呼ぶマガリヤの曲がりの部分は高度な技術を要するので熟練した屋根葺職人が作業に当たる。
- 上部まで葺きあがるとグシを作る。
- 上部の重なったカヤの裏をヤネフキバサミで切り、上にミノガヤと呼ぶ長いカヤをもって末と元とを交互に平らに並べてオシボクで締め、上に杉皮を並べる。
- 杉皮の真ん中にケントーギを上げ針金で縫って固定する。
- 杉皮の両端にクリの割木を当て針金で縫ってヨコヅチで軽くたたきながら締める。
- 職人が横に並び針金で締め、ジハシリが職人の脇のグシ木を上から掛け声とともにたたき、グシを締める。
- グシまで完成するとグシマツリが行われ、グシマツリが終わると翌日からヤガリが始まる。
- ヤネフキバサミでグシから刈り始め、ガンギボウで出ている部分を叩きながら平らに仕上げる。
- アルキは上のほうが出来次第取り外しながら刈り降ろす。キリヤ先やアズマ先は目に付くので時間をかけて丁寧に仕上げる。
- ノキも目に付く場所であるので、ノキが水平になるように仕上げるのは苦労することである。