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カヤは、屋根を葺くためばかりでなく、冬囲いや冬季の玄関口として作られるカザアライにも利用される重要な資材であった。

カヤを調達するには、共有地のものを順番に回す場合と屋根葺を計画している家が各自で調達する場合がある。黒谷では家と家のカヤの貸し借りを記録したカヤ帳があって、これをもとに貸し借りをしていた。また、蒲生では、カヤノ(茅野)は共有地にあり、区に「萱野帳」があって屋根葺を予定する家では区に申し出て使わせてもらった。

丸ぶきをする場合、家の大きさにもよるが、七間×五間に三間四方のウマヤの部分がついたマガリヤの場合、七〇〇~八〇〇シメ(一シメ=六尺の縄でカヤをまわしたもの)も必要とする。そのため、家を葺くためのカヤ刈り作業は、一軒の家でそろえることは難しいため、集落の人が手伝いとして参加するユイと呼ばれる共同作業で行う。そして、翌年、参加してもらった家がカヤを集める時には、カヤ刈り作業に参加することでお返しをする。

「トーモテ(田面)にイネが見えなくなったらカヤ刈りの触れを出せ」と言われるように、十月末ごろにカヤ山ノ口を行った。坂田では、ヤガヤカリ(屋茅刈り)のくじに当たった人の家に各戸一人ずつが手伝いとして参加することになっており、朝早くカマ(鎌)ニナ(荷縄)ナタ(鉈)を持って集まる。その日刈ったカヤは、夕方までに円すい形のカヤマキを作って帰った。カヤをもらう人の家ではカヤ刈り作業に参加してくれた人のための昼食を準備し、夜は、酒食をふるまい労をねぎらう。

カヤ刈り

カヤ刈りが一日で終わらないときは隣組と親戚を頼んでさらに一日、二日刈る。こうして刈ったカヤマキは、翌年の三月ごろに崩してソリで運び出す。この作業をカヤ引きという。

カヤ刈り

カヤ刈り