只見町は、11月頃から雪が降り始め、4月頃まで雪に閉ざされた世界となってしまう。その間、農業を行うことができず、翌年の農業で使用するためのワラジやミノなどを製作して過ごすか、雪で閉ざされていてもお金を稼ぐことができる職人となる者が多い。建材や家具等家内で作業を行うことができる番匠(大工)や冬季に関東稼ぎと称して関東に出稼ぎを行う屋根葺職人が只見町で多くみられる職人である。また、雪を利用する職人や冬季でないと作業ができない職人もおり、雪を利用して山から木を降ろす元山(杣)や、冬季に行われる熊やカモシカを狩猟する鉄砲打ち(猟師)がそれにあたる。春~秋にかけての農繁期は、基本的には農業を行うが、一日のサイクルの中でも、早朝や夕方は農作業を行うが、日中は職人として仕事を行う人も多い。上記のように職人はそれぞれの生業暦を持っている。
職人になるためには、その職の親方に弟子入りし、修行を積むことで一人前の職人となるが、只見町の大きな特色として、一人前になった証として巻物を伝授される。